国立学校法人お茶の水女子大学 室伏きみ子学長インタビュー

お茶の水女子大学は、1875年に女性のための日本初の高等教育機関「東京女子師範学校」として創設され、その後、142年に渡って、女子教育を先導されてきました。また、その卒業生たちは、女性が社会で活躍することさえ困難な時代から、後に続く女性たちのために活躍の場を開拓してきました。

今回は、女性活躍について、学長を務める室伏きみ子さんに、「女性が輝く社会」をテーマにお話を伺いました。

 

1. WAW! のミッションに共感され、アドバイザーに就任された背景を教えてください。

内閣府の男女共同参画会議の議員に就任し、いくつかの委員会を通じて、様々な団体の方と関わりをもつ機会がありました。そこでこれまでお茶の水女子大学が培ってきたノウハウをもっと世に広めることができるのではないかと考えたためです。お茶の水女子大学は1875年の開学以来、女性がリーダーとして世界で活躍できるよう、活動を進めてきました。それは、女性が社会に出ることさえ困難だった時代にはきわめて先進的な取り組みでした。そして、その環境で育った優れた卒業生が、国境を越えて、様々な領域で活躍しています。本学が142年にわたって培ってきたノウハウを、学内に留めることなく、日本全体の女性のために、更には世界中の女性のために、活用していきたいと考えています。

 

2. “女性が輝く社会“とはどのような社会とお考えでしょうか。

それぞれの人が自分自身の場所を定めて、そこで輝く存在になることができれば、それが最も良いと考えています。

女性活躍と言っても、国や大きな組織を率いる人がそんなにいなくても良いわけです。それぞれの立場で、その時に最善の努力ができる人が、たくさん育ってほしいと考えています。

それが本当の意味でのリーダーだと思います。

多様な能力や多様な意思があって初めて、世の中が健全に発達するのではないでしょうか。みんなが同じ方向を向いていたらとても怖い世の中になってしまいます。多様な文化や考え、また多様な人種などをしっかりと受け入れることが大切です。自分の考えと違う人たちを排除するといったようなことはあってはいけません。

 

3.それに向けてご自身の組織が取り組まれていることがすでにございましたら教えて下さい。

—アフガニスタン女子教育支援

アフガニスタン女子教育支援を15年に渡って続けています。11月には15周年記念シンポジウムを開催します。

http://www.ocha.ac.jp/event/afghanistan2017.html

お茶の水女子大学が支援を開始した2002年当時、20年以上にわたる紛争・内戦を経たアフガニスタンでは、女性の教育は禁止され、教育のための制度・施設も壊滅状態でした。

アフガニスタンの復興支援のために何かできることはないだろうか-お茶の水女子大学初の女性学長の本田和子先生と当時の文部科学大臣遠山敦子さんのお2人が面談され、「日本ができる一番大きなことは教育、そして更には女子教育支援が重要である。」と、この取り組みがスタートしました。

お茶の水女子大学だけでやっていける事業ではないため、津田塾大学・東京女子大学・日本女子大学・奈良女子大学、5つの女子大学によるコンソーシアムを形成しました。そして、学びたくても学べない状況にある開発途上国の女性たちに学ぶ機会を提供し、その人たちが、将来的には国をリードできるような人になってほしい-そんな願いを込めて、支援に取り組んでまいりました。

—ヒューマンライフイノベーション開発研究機構

昨年、ヒューマンライフイノベーション開発研究機構を新しく設立しました。

http://www.cf.ocha.ac.jp/ohli/

これまでお茶の水女子大学が積み重ねてきた研究・教育の成果を集約して、日本や世界の人々のために役立つよう伸ばしていきたいと考えています。

幸い本学には、0歳児から大学院生までが同じキャンパスで学んでおり、また、ナーサリー、幼稚園、小学校、中学校、高等学校が互いに連携して、様々な年代の子供たち・若い人たちを対象にした教育研究を進めています。

大学での研究を実装する場としても附属学校園が利用可能です。また、附属学校の先生方や生徒さんたちも大学を利用した学習を行うことができます。

更には、小学校から中学校に上がったときに、突然科目が難しくなって、学ぶ意欲を失うといった「接続」の問題、小中高の壁を克服するための研究も、本学なら容易にできる環境にあります。

社会で課題になっている子どもたちの心と体の問題にも、本学の特色を生かして、取り組んでまいります。

—企業との連携

外部の大学や研究機関、企業との共同事業を始めています。本学は小さな大学ですから、十分な教育や研究の資源が揃っているとは思っていません。

そのため、それらを補完する意味でも、出来るかぎり学生の皆さんに豊かな学びを経験してもらうためにも、更には教員の方々に豊かな研究環境を提供するためにも、いろいろな外部機関と提携することが大事だと考えています。

そのため、(株)ブリヂストンやSOMPOホールディングス(株)といった大きな企業とも連携していますし、様々な企業でのインターンシップも可能になっています。

また、女性が活躍できる環境を整えたいと考えている企業も多いので、本学のノウハウを利用してお手伝いし、相互に有益な関係を築いています。

—他大学との連携

筑波大学や早稲田大学と包括的な連携協定を結んでいます。筑波大学とは、元々、東京師範学校と東京女子師範学校で、ある意味兄弟のような関係にあったため、長年協力し合ってきました。

附属学校園同士も関係が深く、附属学校における教育・研究の成果を活用して、それを社会に発信し、日本全体の教育の質を高めるための取り組みを進めています。早稲田大学とは、特に理系分野における教育・研究や男女共同参画を実現するための環境整備に向けた取り組みを進めています。ほかにも他大学と一緒に進めてきた活動はたくさんありますし、これからも予定しています。

開学以来、日本の政府や社会からの期待を背負い、更には様々な支援を受けてグローバル女性リーダー育成のための教育システムを開発してきました。この教育システムを日本だけでなく、いろいろな国で活用できるように工夫していきたいと思います。

 

4.これから取り組んでいきたいことは何かありますでしょうか?

女性のグローバルリーダーを育てることを最も大きなミッションとしています。そのため本学では、国の内外の多くの大学との交流協定などを通して、留学生の受け入れや日本人学生の海外留学を推進して、学生たちがグローバルな環境で活躍できるよう、後押ししています。

ただ、トップに立って引っ張っていく人ももちろんですが、自分が属しているグループ・組織が誤った道を取らないように、いろいろな立場で努力できる人を育てることも重要だと考えています。

これから益々ボーダーレス化が進む中で、多様な社会において、生きていく力をもつ女性たちを育てたいと考えています。これは昔からの本学の方針でもあります。

世の中で大きな変化が起こる中、どのように花咲かせていくか、若い人たちと議論し、相談しながら探っていきたいです。

 

5. 若い世代が自らその社会に貢献できることは何でしょうか。

どのような形でも貢献できると思います。

自分が重要だと思うことがあったら、信じてやり抜くことが大切なのではないでしょうか。

社会に貢献できることというのは、本当に小さなことから、とても大きいことまで様々だと思います。

人々の幸せや地球の将来といった思いが根底にあり、その時に何ができるか考え、自分がぜひやりたいと思ったことを突き進めば、それはいつでも社会貢献に結びつくでしょう。

私はいつも学生さんたちに「何でも恐れずチャレンジしなさい」と言います。チャレンジして失敗しても、その経験はその人にとっては大事な宝物になります。

女性の場合はそのライフステージにおいて、仕事や研究などが思うようにいかないことも多々あると思います。でも、諦めてしまうとそこからの復帰が大変になってしまいます。

私は、「どんなに低空飛行でもいいから飛んでいなさい。そして、いざという時に高く飛べるように、やめてしまってはいけない」とお話しています。

どんな形でも良いので自分のやりたいことを続ける、どんな形でも社会とつながる。

これを若い人たちに実行して欲しいし、そうすることで社会に貢献できると考えています。

 

 

Created by manma×POTETO(poteto.media

主催 外務省 国際女性会議WAW!準備事務局

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